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コバルト

元素記号:Co 英語名:Cobalt

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

27

58.93320

1495

2861

2250

 コバルトは地殻に約0.0025%程度存在します。銀白色の脆い金属です。人類がコバルトを利用し始めたのは大変古く、古代エジプト文明やメソポタミア文明でガラスに青色(コバルトブルー)を付けるのに使用されていました。コバルトの化学的な研究は、1735年にスウェーデンのブラントによって実施され、分離することに成功しました。元素名の由来は明確ではありませんが、ドイツの鉱山技師達が銀鉱石によく似たコバルト鉱石をコボルトと呼んでいたことに因むと言われています。コボルトとは坑夫の邪魔をするイタズラ好きの悪霊の呼び名です。銀が採れないのは悪霊の仕業と考えました。
 コバルトは磁性(磁石になる性質)が強い金属で、生産量の約1/4が磁石の製造に消費されています。コバルトを混ぜた鋼は、粘り強く、高温に耐え、腐食されにくいので、切削工具や硬貨の表面仕上げに使用されています。人体に無害なので、バイタリウム合金(コバルト65%、クロム30%、モリブデン5%)が虫歯の治療に使用されています。また、コバルトはビタミン12を構成する元素です。
 コバルトの主要な鉱石は、輝コバルト鉱(CoAsS)やコバルト華(Co3As2O8)等ですが、ニッケルや銅、鉄などを精錬するときの副産物としても得られています。
 下の標本はコバルトの含有が原因で赤紫色に発色した苦灰石です。通常、苦灰石の色は白色、灰色、無色です。コバルト含有による赤紫色のものはコンゴ(旧ザイール)だけで産出される珍品です。

CaMg(CO3)2
コバルト苦灰石
Shaba Province, Congo

「便利な人工放射線源:コバルト60」
 天然に存在するコバルトは、全てコバルト59(陽子27個と中性子32個を持つ)ですが、原子炉内部でコバルト59に中性子を照射することによって、コバルト60(陽子27個と中性子33個を持つ)が人工的につくられています。コバルト60からは強力な放射線(γ線)が放出されます。また、コバルト60の存在期間は比較的長い(約5年で半減するペースで存在)ので、便利なγ線源として、コバルト60は医療や農業の分野で利用されています。医療分野では、放射線を利用して、腫瘍を取り除くのに利用されています。また、生体の内部構造の検査、殺菌、そして、品種改良のためにも使用されています。

隣接元素
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コバルト ニッケル
ロジウム

  

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