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スカンジウム

元素記号:Sc 英語名:Scandium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

21

44.9559

1541

2831

34.2

 スカンジウムは軟らかい銀白色の金属で、地殻に平均で5ppm(0.0005%)ほど存在します。1871年に、ロシアのメンデレエフによって存在が予言された元素のひとつで、1879年にスウェーデンのニルソンによって発見されました。ニルソンは、ガドリン石{Y2FeBe2(SiO4)2O2}とユークセン石{(Y,Ca,Ce,U,Th)(Nb,Ta,Ti)2O6}を用いて、酸化イッテルビウム(Yb2O3)を精製したときに、偶然、新元素を発見し、地名スカンジナビアに因んでスカンジウムと名付けました。スカンジウムがメンデレエフによって存在が予言された元素であることに気が付いたのは、ニルソンではなくスウェーデンのクレーヴェでした。クレーヴェは新元素ツリウム(Tm)を発見する実験の途中でスカンジウムを抽出することに、ニルソンとほぼ同時に、成功していました。
 スカンジウムを主成分とする鉱物として、トルトベイト石{(Sc,Y)2Si2O7}が知られていますが、発見されたのは1910年です。産出量が限られているので、工業用のスカンジウムはウランを精製する副産物として採取されています。ヨウ化スカンジウム(SCI3)には昼間の太陽光に似た光を発する性質があるので、メタルハライドランプに封入されています。メタルハライドランプは、明るく、長寿命のランプです。展示物の照明のほか、植物の栽培でも高い評価を得ています。

ガドリン石
Y2FeBe2(SiO4)2O2

ガドリン石

愛媛県 北条市 高縄山
形成時は緑色の鉱物でしたが、放射能の影響で黒くなっています(メタミクト化)。

メンデレエフの周期表
 1871年、メンデレエフは元素の化学的性質の周期性に注目して、当時知られていた63の元素を分類して下のような表(周期表)にまとめました。メンデレエフの周期表には様々な欠点がありますが、発表当時は最も優れたものでした。メンデレエフは赤い数字の場所に入るべき未知の元素が存在するとして、その元素の性質や発見方法までも予言し、未知の元素の発見に大きく貢献しました。(1)の場所の元素に入るのが、スカンジウム(Sc)です。(2)はガリウム(Ga)、(3)はゲルマニウム(Ge)、(4)はテクネチウム(Tc)、(5)はポロニウム(Po)、(6)はレニウム(Re)であることが判明しています。また、8〜10行目の空欄に入る元素はランタノイド{ランタン(La)に似た性質を示す15の元素群:La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu}に対応していることが分かりました。

メンデレエフの周期表(1871年)
赤文字は存在を予言した元素の欄
周期 1 2 3 4 5 6 7 8
1

H

             
2 Li Be B C N O F  
3

Na

Mg

Al

Si

P

S

Cl

 
4 K Ca (1) Ti V Cr Mn

Fe,Co
Ni,Cu
5 (Cu) Zn (2) (3) As Se Br  
6 Rb Sr Yt Zr Nb Mo (4)

Ru,Rh
Pd,Ag
7 (Ag) Cd In Sn Sb Te I  
8 Cs Ba Di? Ce?        
9          

(5)

   
10     Er? La? Ta W (6)

Os,Ir
Pt,Au
11 (Au) Hg Tl Pb Bi      
12       Th   U    

隣接元素
ーーー
カルシウム スカンジウム チタン
イットリウム

  

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