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プラセオジム

元素記号:Pr 英語名:Praseodymium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

59

140.90765

931

3212

0.1669

 プラセオジムは銀白色の柔らかい金属です。地殻には9.5 ppm(0.00095%)ほど存在しています。1885年、オーストリアのウェルスバッハは、ジジミウム(1つの元素と考えられていた物質。詳細はコラム参照)が2つの元素(プラセオジムとネオジム)から構成されていることを発見しました。分析で得られたプラセオジムの酸化物は明るい緑色を呈していました。元素名は、ギリシャ語のprasios(緑の意)とシジミウムを組み合わせた(プラセオ+ジジミウム)ものです。
 プラセオジムの鉱石はモナズ石(CePO4)です。プラセオジムの酸化物は青い光を、ネオジムの酸化物は黄色い光を強力に吸収する性質があり、溶接作業時に使用するゴーグルのガラスに、プラセオジムとネオジムの酸化物が入っています。プラセオジムイエローは最初に実用化された希土類元素の顔料です。絵の具のように、別の顔料と混ぜて中間色を得ることができる優れた顔料です。

コラム「消えた元素名、ジジミウム」
 ジジミウムという元素名が誕生したのは1840年です。スウェーデンのモサンダーは、1839年に、セリウムの化合物を分析し、ランタンを発見しました。分析を続けたモサンダーは、翌年、別の未知の元素が含まれていることを解明し、ギリシャ語のdidymos(双子の意)に因んで、ジジミウムと名付けました。その後、40年間、ジジミウムの存在は信じ続けられ、メンデレーエフも、1871年に発表した周期表(参照:スカンジウム)に、ジジミウムの元素記号Diを掲載しています。現在では、ジジミウムと呼ばれていた物質は5種類の元素(プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ユウロピウム)の混合物であることが判明していますが、これらの元素の化学的な性質はよく似ており、19世紀の技術では分離は困難でした。
 最初にジジミウムから分離された元素はサマリウムです。1879年、サマルスキー石(ロシアの鉱山技師サマルスキーが発見した鉱物)から発見されました。分析を行ったのはフランスのボアボードランです。
 2番目はガドリニウムです。サマリウムの発見を知ったスイスのマリニャクは、サマリウムの存在を確かめるために、ボアボードランと同じ実験を行いました。その際、偶然、ガドリニウムを発見しました。
 3番目はプラセオジムとネオジムで、1885年に発見されました。これにより、ジジミウムの名前は消え去りましたが、元素名(プラセオジムとネオジム)の語尾に面影が残っています。
 最後に見つかったのはユウロピウムです。1896年、フランスのドマルセがサマリウムから分離することに成功しました。これにより、セリウムの化合物に含まれていた希土類元素の全容が明らかになりました。セリウムが発見されたのが1803年ですから、90年以上かかったことになります。セリウム化合物から発見された元素発見の経過を下図に掲載しています。元素名シジミウムは45年間も使われていました。

セリウム
(1803)
セリウム
ジジミウム
(1840)
サマリウム
(1879)
サマリウム

ランタン

ガドリニウム
ユウロピウム
(1896)

(1839)

(1880)

ネオジム
(1885)

プラセオジム
(1885)

セリウム化合物から分離された元素の発見史

隣接元素
ーーー
セリウム プラセオジム ネオジム
プロトアクチニウム

  

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