ホーム

テルビウム

元素記号:Tb 英語名:Terbium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

65

158.92534

1356

3123

0.0603

 テルビウムは柔らかい銀灰色の金属です。地殻には1.1ppm(0.00011%)ほど存在しています。スウェーデンのモサンダーはガドリン石イットリウムが発見された鉱物)の研究を行い、1843年、2種類の未知の元素を発見しました。モサンダーは、ひとつにテルビウムと命名し、もうひとつにはエルビウムと名付けました。両元素名とも、ガドリン石が発見されたイッテルビー村(ストックホルムの東南東30Kmにある)の地名に因んでいます。
 テルビウムの鉱石はゼノタイムです。テルビウムを利用した2種類の合金が、パソコンの周辺機器で活躍しています。テルビウム-ジスプロシウム-鉄合金(Tb0.3Dy0.7Fe2)には、磁力で大きく伸び縮みする性質(磁歪:じわいと読みます。コラム参照。)があり、プリンターのヘッドで使用されています。DVDがパソコンで利用され始める前、記録媒体の主役であった光磁気ディスク(MO)には、テルビウム-鉄-コバルト合金(TbFeCo)が磁性体として使用されています。磁性体は加熱すると磁性が失われる性質があり、磁性が失われる温度はキュウリー温度と言います。テルビウム-鉄-コバルト合金のキュウリー温度は約190℃です(参考までに一般的なフェライト磁石では470℃以上です)。そのため、レーザー光線による加熱で容易に磁性が失われ、記録を消去することが出来ます。その他の利用例は、ブラウン管タイプのカラーテレビが有名です。緑色を発生させるのにテルビウムを利用しています(青色はセリウムを、赤色はユウロピウム)。また、X線フィルムの感度を上げる増刊剤にも、ガドリニウムと一緒に、テルビウムが使用されています。

Y2FeBe2(SiO4)2O2

YPO4

ガドリン石

ゼノタイム

ガドリン石

ゼノタイム

愛媛県 北条市 高縄山

Ibitiara, Bahia, Brazil

コラム「磁歪」
 磁歪(じわい)とは、磁力によって磁性体が伸び縮みする現象です。一般の磁石で使用されているフェライトは、最大で、0.004%ほど伸び縮みします。1970年以降、希土類を含んだ素材の研究が進み、大きな磁歪を持つものがいくつか発見されました。その中で最も注目されたのがテルビウム-鉄合金(TbFe2)です。最大で0.3%もの磁歪を示します。しかし、この磁歪を得るためには強力な磁力が必要です(重さが1トンもある電磁石が使用されていました)。その後、研究が進み、ジスプロシウムをテルビウム-鉄合金へ混ぜると、磁歪の大きさを保ったまま、必要な磁力を下がることが判明しました。この様にして開発されたテルビウム-ジスプロシウム-鉄合金(Tb0.3Dy0.7Fe2)は、手のひらに乗る小型電磁石でも、大きな磁歪を得ることができます。

隣接元素
ーーー
ガドリニウム テルビウム ジスプロシウム
バークリウム

  

Copyright (C) 1996-2007 iElement. All Rights Reserved.