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バリウム

元素記号:Ba 英語名:Barium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

56

137.323

725.01

1640.01

4.49

 バリウムは柔らかい銀白色の金属です。地殻には 0.05 % ほど存在します。バリウム鉱石(重晶石:BaSO4)が知られるようになったのは17世紀初頭です。イタリア・ボローニャの錬金術師カッシャローロは、重晶石(ボローニャ石と呼ばれていた)を炭と一緒に加熱処理して、暗闇で赤く光る物質(硫化バリウム)を生成し、人々を驚かせました。ボローニャ石に未知の元素が含まれていることを突き止めたのはイギリスの化学者デービー(有名な科学者ファラデーの恩師)です。1808年、電気分解によって新元素を抽出しました。バリウムを含む鉱物が重い(例えば、重晶石の比重は約 4.5 )ことから、元素名はギリシャ語の barys (重いの意)に因んでいます。

重晶石 毒重石
重晶石 毒重石
Mibladen, Morocco Nentsberry Haggs Mine, Nent Valley Alston Moor District, North Pennines, Cumbria, England, UK

 バリウムの主な鉱石は重晶石(BaSO4)と毒重石(BaCO3)です。工業的にバリウムを得るには、電気分解ではなく、酸化バリウム(BaO)をアルミニウムと反応させています。バリウムの化合物は広く利用されています。主な用途を下の表にまとめてみました。

主なバリウム化合物とその用途

バリウム化合物

化学式

用途

硫酸バリウム

BaSO4

ペンキ、健康診断

酸化バリウム

BaO

水の吸収剤

過酸化バリウム

BaO2

漂白剤

硝酸バリウム

Ba(NO3)2

花火(緑色)

チタン酸バリウム

BaTiO3

コンデンサー

コラム「バリウムがゆの正体」
 バリウムといえば、健康診断の時に飲まされる白い液体「バリウムがゆ」を思い出される方が多いと思います。バリウムがゆは、硫酸バリウムと水と粘着剤を混ぜたものです。飲みやすくするために、バニラなどの香料が混ざったものもあります。
 なぜ、バリウムがゆを飲むのでしょうか。バリウムはX線を通しにくい元素です。人体はX線をよく通します。バリウムがゆを飲んで胃のレントゲン撮影(X線撮影)を行うと、影(X線が通らない部分)ができて、胃の内部の様子が明確に診察できるようになります。
 なぜ、硫酸バリウムを利用するのでしょうか。それは、硫酸バリウムは水や胃液に溶けないからです。飲まれた硫酸バリウムは体内に吸収されることなく、そのまま、体外へ排出されます。実は、バリウムは毒性がある元素です。体内にバリウム元素が取り込まれると筋肉の動きが麻痺し、最悪の場合、呼吸が止まります。それ故、体内に吸収されない硫酸バリウムが、バリウムがゆに利用されています。

隣接元素
ストロンチウム
セシウム バリウム ランタン
ラジウム

  

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