セシウムは極めて柔らかい銀白色の金属です。地殻には3
ppm(0.0003%)ほど存在します。1860年、ドイツのキルヒホッフとブンゼンは、炎色反応(金属が炎で加熱されたときに光る反応)を利用して元素分析を行う装置(分光分析器)を開発し、鉱泉水に含まれている元素の確認を行いました。その際、未知の青い光が観測され、すぐに2人は新元素によるものと確信しました。元素名はラテン語のcaesius(空の青の意)に因んでいます。
セシウムにはポルックス石(CsAlSi2O6)という鉱石が存在しますが、工業的にはリチウムの副産物として、リチア雲母から得られています。セシウムの化学的な性質はカリウムに似ており、リチア雲母中のカリウムの一部がセシウムに入れ替わっています。セシウムは最も反応性に富んだ元素です。窒素とも直接反応するため、真空管の真空度を保持するのに利用されていました。セシウムを使用したロケット推進エンジンは高出力が得られると考えられており、恒星間を飛行する宇宙船に利用できるのではと、期待されています。また、セシウム原子の電子状態が変化するときに、セシウム原子が放出する光を基準に、1秒の長さが定義されています。 |