ランタンは銀白色の柔らかい金属です。地殻には
32 ppm(0.0032%)ほど存在します。ランタノイド(コラム参照)、あるいは希土類元素(コラム参照)と呼ばれる元素のひとつです。1839年、スウェーデンのモサンダーは、自分の師匠ベルセーリウスが発見したセリウムの化合物を化学処理し、未知の元素が含まれていることを発見しました。元素名ランタンは、ギリシャ語のlanthanein(隠れるの意)に由来しています。
モナズ石(CePO4)とバストネス石{(Ce,La)(CO3)F}がランタンの鉱石です。精製の途中で得られる希土類元素の混合物(ミッシュメタルと呼ばれています。ランタン、セリウム、ネオジムが主成分です。)は安価なため、ガラスの研磨剤や、陶磁器の着色剤として使用されています。ミッシュメタルと鉄の混合物(発火石という)には衝撃で火花を生じる性質があり、使い捨てライターにも使用されています。ちなみに、発火石には30%ほどのランタンが含まれています。ランタンの最も注目されている利用例は、水素吸蔵合金(コラム参照)の原料として、ニッケル水素電池での利用です。ランタン138(陽子:57個、中性子:81個)は時間と共にセリウムとバリウムへ変化します。これを利用して岩石の年代が求められていますが、ランタン138が変化する割合がたいへん遅く(1000億年で半減するペース)、生成されるセリウム138とバリウム138は微量であるため、利用できる試料は限られています。 |