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ベリリウム

元素記号:Be 英語名:Beryllium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

4

9.01218

1278±5

2970

0.73

 ベリリウムは硬くてもろい灰色の金属です。地殻には2.6ppm(0.00026%)ほど含まれています。1797年、フランスのボークランは緑柱石(エメラルドとアクアマリンは緑柱石の一種です。)の化学分析を行い、未知の元素の化合物を発見しました。得られた化合物をなめたところ、甘い味がしたので、ギリシャ語のglukos(甘いの意)に因んで、新元素にグルシニウムと名付けました。しかし、甘い化合物は他にも多数存在するので、不適切な命名でした。現在の元素名はドイツのクラップロート(ウラン、チタン、ジルコニウム、セリウムの発見者。マンガンとテルルの命名者。)が提案した名前で、鉱物名Beryl(緑柱石の英名)に因んでいます。
 ベリリウムの鉱石は緑柱石(Be3Al2Si6O18)です。ベリリウムはX線を非常によく透過するので、X線発生装置からX線をとりだす窓に利用されています。銅にベリリウムを2-4%混ぜた合金(ベリリウム青銅)は強度と粘り強さに優れており、スイッチのバネに利用されています。

緑柱石(Be3Al2Si6O18

エメラルド

アクアマリン

エメラルド

アクアマリン

コラム「日本に火山が多く存在する理由とその証明」
 日本は火山国です。日本列島の地下にプレートが沈み込んでいるのが原因で、火山が多いと言われています。この考えに、次のような疑問を感じたことはありませんか。冷たいプレートによって、なぜ、岩石が溶かされ、マグマが生じるのでしょうか。この矛盾を解決する物質がプレート共に沈む込む堆積物に含まれています。それは水です。水には岩石の溶ける温度を下げる効果があるので、マグマが生じると考えられています。ここでは、ベリリウムの同位体を用いて、日本の火山の生成に堆積物が寄与していることを証明する研究を紹介しましょう。
 地球内部に存在するベリリウム原子は陽子4個と中性子5個を持っているベリリウム9のみで構成されています。これに対し、地表部に分布しているベリリウムには、大気中の窒素や酸素が宇宙線と反応して生成したベリリウム10(陽子4個、中性子6個)が、わずかに含まれています。ベリリウムは金属なので上空で誕生したベリリウム10は直ぐに酸化され、速やかに(2年以内に)海や陸に降ってきます。ベリリウムは水に溶けにくい元素です。よって、海中へ移動したベリリウム10は海底に早く(1500年以内に)沈殿し、堆積物に含まれていきます。そして、プレートと共に日本の地下へ沈み込んでいきます。ベリリウム10は不安定で、151万年で半減するペースで減っていきます。それ故、地球内部に存在できる時間は1000万年程度です。プレートが沈み込むスピードから、堆積物が日本の真下へ到達するのに要する時間は数100万年程度と見積もれることから、日本の火山の岩石にベリリウム10が検出されるかもしれません。そうなれば、堆積物の寄与を証明することが可能になります。
 この様な期待を抱いて、日本の火山で生成した岩石(火成岩)を分析したところ、極微量(1Kgの岩石に100億個の程度のベリリウム10)のベリリウム10を検出することに成功しました。この観測事実より、日本の火山の誕生に、プレート共に沈み込んでいった堆積物が重要な役割を果たしていることが証明されました。ベリリウムは水に溶けにくい元素です。ベリリウム10の存在は、堆積物に含まれている水だけではなく、堆積物の固体成分も、日本の火山のマグマの生成に関わっていることも、示しています。水のみが関わるという説を支持する専門家が多かった(特に岩石学者)のですが、現在では、堆積物の固体成分も寄与していると考えるのが一般的です。

隣接元素
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リチウム ベリリウム ホウ素
マグネシウム

  

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