石灰石とは鉱物資源としての石灰岩の呼び名ですが、一般方には石灰岩よりも親しみがある呼び名だと思います。理科の実験や社会の授業でも、石灰石の名で出てきます。ここでは、石灰石の呼び名を使用し、石灰石に関連した化学変化をいくつか紹介しましょう。
石灰石(CaCO3)を焼いて得られるのが生石灰(CaO)です。
CaCO3 → CaO + CO2
水を加えると、消石灰{Ca(OH)2}になります。
CaO + H2O → Ca(OH)2
消石灰は大気中の二酸化炭素と反応して、石灰石(CaCO3)に戻ります。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
この反応が建築に利用されていました。
カルシウムを水と反応させると、水素ガスと水酸化カルシウム{Ca(OH)2}が生成します。
Ca + 2H2O → Ca(OH)2
+ H2
水酸化カルシウムを水に溶かした物が石灰水です。石灰水が二酸化炭素を吸収すると、水に溶けない石灰石が生じます。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
石灰水に息を吹き込むと白くなるのは、この反応が発生していたためです。この反応式を消石灰と二酸化炭素の反応式と見比べると、同じであることが分かります。つまり、石灰水がにごる原理と、生石灰が建築材料として固まる原理は、同じだということです。
にごった石灰水に息(二酸化炭素)を送り続けると、にごりが消えて透明になります。水に溶ける炭酸水素カルシウムが生成するからです。
CaCO3 + H2O + CO2 → Ca(HCO3)2
炭酸水素カルシウムは水の中でのみ安定に存在するので、水が蒸発すると、逆の反応が発生し、石灰石が生じます。
Ca(HCO3)2 → CaCO3 + H2O + CO2
この2つの反応が鍾乳石の生成の原理です。二酸化炭素を含んだ水に石灰石が溶かされ、蒸発で水と二酸化炭素を失うことで、CaCO3が再び生成したのが鍾乳石です。 |