鉄は地殻に4番目に多く存在する元素(平均濃度は5.6%程度)で、宇宙では9番目に多い元素です。恒星内部の核融合の最終過程で合成される元素が鉄であるために、鉄の存在量は多くなっています。鉄利用の歴史は古く、有史以前から隕鉄が鉄資源として利用されていました。また、紀元前3000年頃、ヒッタイト民族は製鉄技術を開発していました。英語のironは、ラテン語aes(鉱石の意)に由来し、元素記号のFeはラテン語ferrumu(強固を意味する言葉から派生)に因むと言われていますが、詳細は不明です。
天然の純粋な鉄が地球で産出するのは希で、ほとんどの鉄は酸素と結びついて存在しています。主要な鉄の鉱石は赤鉄鉱と磁鉄鉱です。製鉄には鉱石の他に、コークス(石炭を粉末にして加熱処理したもの)と石灰石が必要です。コークスは鉄から酸素を分離すると同時に、鉱石と石灰石を溶かす熱源になります。石灰石は、鉱石に不純物として含まれている二酸化ケイ素や酸化アルミニウムやイオウを取り除いてくれます。 |