マンガンは地殻に0.01%程度存在します。硬くて脆い灰白色の金属です。古代ローマ時代には、ガラスを透明にするのに、マンガナスと呼ばれていたマンガン鉱物{現在名は軟マンガン鉱(MnO2)}が利用されていました。マンガナスはギリシャ語の浄化(manganizo)にちなんだ名前と言われています。軟マンガン鉱(マンガナス)の最初の化学的な研究は、1774年のスウェーデンのシェーレによるもので、2つの新元素(マンガンとバリウム)が発見されました。同年、シェーレの友人ガーンは軟マンガン鉱(マンガナス)から純粋な新元素(マンガンのこと)を精製することに成功し、鉱物名よりマンガネシウムと名付けました。しかし、1808年に、マグネシウムが発見されると、名前がまぎらわしいという問題が発生。ドイツのクラップロートがマンガンという呼び名を提案して、現在に至っています。
鉄にマンガンを混ぜたマンガン合金は、衝撃に強く、引っ張られるのに耐える力がとても強い合金なので、鉄道のレール、ワイヤー、キャタピラーの部品などに利用されています。銅に亜鉛とマンガンを混ぜたマンガン青銅は、錆びにくく、引っ張られるのに耐える力が強いので、スクリューや蒸気タービンに使用されています。
マンガンの主な鉱石は軟マンガン鉱で、アルミニウムと混合して加熱することによって、精製されています。海洋底には、マンガンと鉄の水酸化物を主成分とする球状の物体(マンガンノジュール)が広く分布しており、将来の鉱物資源としての利用法が研究されています。 |