ルテニウムは、地殻に0.001ppm(0.0000001%)程度しか含まれていません。硬くて脆い銀白色の金属で、腐食を受けにくく、比重(12.37)が大きいのが特徴です。これらの特徴は白金と似ています。また、ルテニウムは白金と共存していることが多い元素です。よって、ルテニウムは白金族元素と呼ばれています。1828年、ロシアのオサンが存在を予測して、ラテン語のRuthenia(ロシアの意。元来はベラルーシ地方の呼び名。)に因んでルテニウムと名付けました。1844年、ロシアのクラウスの研究によって、存在が確定しています。
ルテニウムは副産物として自然白金から回収されています。自然白金に含まれている量は2%以下であり、化学的な性質が白金と似ているため、ルテニウムの精製は容易ではありません。ルテニウムは、装飾品や電気部品に使用される白金合金やパラジウム合金に添加されています。目的は合金の強度を増大させるためですが、苦労して分離したルテニウムと白金を再び混ぜるとは、少し不思議な話です。万年質のペン先には、オスミウムとの合金が利用されています。近年、太陽電池の性能の向上、二酸化炭素の分解、水の分解による水素ガスの発生など、ルテニウムの化合物のもつ様々な機能に関する研究が進められています。 |