金属の表面には化学反応の速度を高める能力が備わっていることが知られています。白金の表面は代表的な例です。例えば、水素ガスと酸素ガスを反応させて水を生成する速度を高めてくれます。水素ガスは2つの水素原子が一緒になって水素分子(H2)を形成していますが、水素分子は白金の表面に吸着されると分解され、水素原子(H)になります。酸素ガスも同様に、白金の表面で分解され、酸素原子(O)になります。そして、以下のような化学反応が起こり、水(H2O)が生成します。
H + O → OH OH + H → H2O
この一連の反応で、白金自身は変化せず、反応速度を高めます。この様な働きは触媒作用といい、この様な働きをする物質は触媒と呼ばれています。白金の触媒作用は、様々な化学物質の合成や石油の精製作業で利用されています。ここでは、自動車の排気ガスの浄化装置における触媒作用を紹介しましょう。
排ガスの主な有害成分は窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の3つです。浄化装置では、白金とパラジウム(白金族元素の1つ)を触媒に使って、3つの有害成分を同時に除去しています。
NHx →
N2 + O2(パラジウム触媒)
2HC + CO + 3O2 →
3CO2 + H2O(白金触媒)
まず、パラジウムによって、窒素酸化物は窒素と酸素に分解されます。白金によって、炭化水素と一酸化炭素は、酸素を利用して、二酸化炭素と水に分解されます。 |