「一石二鳥」とは、一つのことをして、同時に2つの利益を得るという意味の諺(ことわざ)です。パラジウムを発見したウオラストンは、同じ白金鉱石(自然白金と思われる)から、ロジウムも見つけだしました。つまり、1つの石から2つの新元素を発見したのです。その様子を紹介しましょう。
ウオラストンは白金鉱石を王水で溶かし、できた溶液にシアン化水銀をゆっくりと加えました。すると、溶液の底に黄色い物質が出現しました(沈殿しました)。黄色い物質の正体はシアン化パラジウムです。これを取り出し、加熱して、パラジウムが得られました。シアン化パラジウム(黄色い物質)を取り除いた溶液は、バラのような紅色を呈していました。発色の原因は未知の元素の化合物である塩化ロジウムナトリウムでした。
パラジウムとロジウムは白金族元素と呼ばれる元素のグループに分類される元素です。白金族元素は化学的な性質が似ており、共存していることが多い元素グループです。白金族元素の性質と、沈殿物と残った溶液の両方に注目したウオラストンの探求心の強さによって、一石二元素の偉業は達成されました。 |