ルテチウムは銀色で硬い金属です。地殻には0.51ppm(0.000051%)ほど存在しています。フランスのユルバンは、1907年に、イッテルビウムと考えられていた物質から新元素を発見し、分離することに成功しました。元素名はパリの古名ルテチア(Lutetia)に因んでいます。天然に存在するランタノイドの探索は、1803年のセリウムの発見で始まり、1907年のルテチウムの発見で終了しました。100年以上の時間を要しており、希土類元素の分離が困難な作業であったことをよく示しています。
ルテチウムの鉱石はゼノタイムです。ルテチウムは高価なため(1グラムで約¥50,000)、工業的にはほとんど使用されていません。ルテチウム176(陽子71個、中性子105個)は、357億年で半減するペースで、ハフニウム176(陽子72個、中性子104個)へと変化します。これを利用したのがルテチウム-ハフニウム法です。年代の古い火成岩、隕石、月の石などの年代測定に用いられています。 |