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アンチモン

元素記号:Sb 英語名:Antimony

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

51

121.75

630.74

1635

0.309

 アンチモンは硬くて脆い銀白色の元素です。地殻には0.2ppm(0.00002%)ほど存在します。人類が古くから利用していた元素のひとつです。輝安鉱(Sb2S3)の粉末をクレオパトラがアイシャドウに使っていたと言われています。元素名はギリシャ語のanti(〜でない)とmonos(単独のもの)に由来し、単独で産出しないことを意味してます。アンチモンにはヒ素のような毒性があるので、anti + monacon(坊主殺し)に因むという俗説もあります。元素記号はラテン語のStibiumに基づいています。
 アンチモンの主な鉱石は輝安鉱です。ケイ素に少量のアンチモンを混ぜたものが半導体として利用されています。鉛に混ぜると強度が増すので、鉛電池の電極には数%のアンチモンが含まれています。三酸化アンチモン(Sb2O3)を合成樹脂や繊維などに少量混ぜると、難燃性が向上します。テレビの本体で使用するプラスチックや耐火性のカーテンなどには三酸化アンチモンが使用されています。

Sb2S3

輝安鉱

コラム「溶けたら縮む元素」
 アンチモンは約630℃で溶けますが、その際に体積が1.4%ほど減少します。逆に、溶けたアンチモンが固まるときには体積が増加します。つまり、氷と水のような体積変化が起こるわけです。この様なアンチモンの特性を活かしたのが活字金です。印刷で使用する活字は、溶かした金属を活字の型に流し込んで製作します。金属が固まる際、通常、体積は減少します。よって、活字が固まる際にも活字の体積が減少し、活字の細かい部分に破損やねじれが発生し、字体が乱れます。このとき、役に立つのがアンチモンです。金属にアンチモンを混ぜると固まる際の体積変化をお互いに消し合い、体積変化が起きない(少ない)合金になります。活字金の主成分(80%)は鉛ですが、17%のアンチモンが混ざっています(残りの3%はスズ)。

隣接元素
ヒ素
スズ アンチモン テルル
ビスマス

  

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