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スズ

元素記号:Sn 英語名:Tin

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

50

118.710

227.968

2270

3.82

 スズ(錫)は銀白色で柔らかい金属です。地殻には2.2 ppm(0.00022%)ほど存在します。スズは人類が最も古くから利用している金属の1つです。スズと銅の合金である青銅(ブロンズ)製の器具や武器は広く使われ時代があり、「青銅器時代」と呼ばれています。旧約聖書にも、ススは7種類の金属{他の6種類は、金、銀銅、鉄、鉛、真鍮(当時は銅と亜鉛の合金であると判明していなかった)}の1つに挙げられています。元素記号はラテン語のStannumに由来し、英語名Tinはエトルリア文明の神Tiniaに因んでいます。日本では白鉛とも呼ばれていました。
 スズは錫石(SnO2)から得られています。缶詰などに使用されているブリキは、鉄にスズをメッキしたものです。青銅(ブロンズ)は、銅の強度を増すためにスズを混ぜた合金(Cu: 95〜75%、Sn: 5〜25%)です。錫の含有量が多くなるほど硬くなります。スズの融点(溶ける温度)は約232℃と低く、ハンダ(Sn: 40%、Pb: 58%、Sb: 2%)に利用されています。酸化スズ(SnO2)には薄い透明な膜状にしても電気を通します。酸化スズの被膜で覆われたガラス(伝導ガラス)は、飛行機の操縦席の窓など、水滴による曇りを防ぐ必要がある窓に使用されています。

SnO2
錫石

コラム「スズペスト」
 石墨やダイヤモンド、フラーレンなど、炭素に複数の同素体(組成は同じだが、構造が異なるもの)が存在するように、スズにも温度によって3種類の同素体が存在します。室温では白色をした金属らしいスズ(白色スズという)ですが、13.2℃以下では結晶構造が変わり、灰色スズへ変化します。比重も7.28から5.8へと、小さくなります。灰色スズはもろく、容易に粉々に砕けます。スズ製品は寒さに弱いと言えます。ナポレオン軍がロシアとの戦いに敗れて退散する際、凍える兵士達を更なる悲劇が襲いました。兵士の防寒着のボタンが白色から灰色へ変化し、粉になって取れてしまいました。原因はボタンに使用されたスズが、白色スズから灰色スズへ変化したためだと考えられます。スズ製品が変色する現象が冬季に伝染病のように発生したため、当時の人々は白色スズが灰色スズへ変化することをススペストと呼んでいました。

隣接元素
ゲルマニウム
インジウム スズ アンチモン

  

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