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インジウム

元素記号:In 英語名:Indium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

49

114.82

156.17

2080

0.184

 インジウムは軟らかい銀白色の金属です。地殻には0.05ppm(0.000005%)ほど含まれています。1863年、ドイツのライヒは新元素タリウム(1861年にイギリスのクルックスが発見)を検出するために、亜鉛鉱石を分析しました。その途中に、見慣れない黄色い化合物が生成し、その化合物を熱して発せられる光のスペクトル分析を行いました。スペクトルのパターンは報告されていないものであり、未知の元素が含まれていることが判明しました。ライヒは色盲であったため、助手のリヒターに色彩を見てもらい、鮮やかな藍色のスペクトルであることを知りました。元素名はラテン語のindicum(藍色)に因んでいます。
 インジウムは閃亜鉛鉱(ZnS)や方鉛鉱(PbS)から副産物として回収されています。世界最大のインジウム鉱山は日本にあります。北海道にある豊羽鉱山で産出する鉱石には高濃度(150ppm以上)のインジウムが含まれており、豊羽鉱山は埋蔵量でも産出量でも世界最大のインジウム鉱山です。インジウムは水と反応しないので、ベアリングボールなどのメッキに利用されています。インジウムの重要な半導体材料です。ケイ素やゲルマニウムの電気の流れをよくするために、少量のインジウムが混入されています(コラム参照)。インジウム化合物(インジウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン)も、半導体の性質を持った化合物(化合物半導体材料)であり、研究が進められています。

方鉛鉱

コラム「半導体とは」
 経済ニュースなどで半導体という言葉をよく耳にしますが、どのようなものなのでしょうか。簡単に紹介しましょう。
 物質の中には、銅などの金属のように電気をよく通すもの(導体)と、ガラスやゴムなどのように電気を通しにくいもの(絶縁体)があります。電気が流れる程度が両者の中間である物質が半導体です。半導体であるゲルマニウムの電気が流れる程度の大きさを1とすると、銅とガラスの値は、下の表のようになります。
ゲルマニウム ガラス
10000000000000000 1 0.00000001
 ゲルマニウムやケイ素を半導体として電子部品などに利用するには電気の流れが少なすぎるため、不純物を混ぜて電気の流れをよくします。そのための不純物の1つがインジウムです。少量のインジウムを混ぜたゲルマニウムやケイ素の結晶内部では電子の不足した部分(正孔)が生じます。正孔は他の部分から電子を奪い、奪われた部分には正孔が生じます。この繰り返しにより、結果として、電流が流れるようになります。この様な仕組みの半導体はP型半導体と呼ばれています。ゲルマニウムやケイ素にリンを混ぜると、結晶内で電子が余る部分が生じて、電子の譲り合いが生じ、結果として、電気が流れます。この様な仕組みの半導体はN型半導体と呼ばれています。トランジスターには、P型とN型の両方の半導体が3つ組み合わせて(N型をP型で挟むタイプと、P型をN型で挟むタイプがある)、使用されています。

隣接元素
ガリウム
カドミウム インジウム スズ
タリウム

  

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