ホーム

カドミウム

元素記号:Cd 英語名:Cadmium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

48

112.411

320.9

765

1.61

 カドミウムは銀白色の軟らかい金属です。地殻には0.11 ppm (0.000011%)ほど存在します。1817年、ドイツのシュトローマイヤーは、菱亜鉛鉱(ZnCO3)を加熱して、白色の酸化亜鉛を得ようとしましたが、黄色の物質が生成しました。その物質を分析したところ、未知の元素が含まれていることが判明し、ギリシャ語のkadmeia{亜鉛華(酸化亜鉛)の呼び名}に因んで、カドミウムと名付けられました。
 硫カドミウム鉱(CdS)のようにカドミウムを主成分とする鉱物も知られていますが、存在量が少なく、鉱石には不向きです。カドミウムは亜鉛と挙動を共にする傾向があり、亜鉛鉱石には1%程度のカドミウムが含まれています。亜鉛を精製する時の副産物として、大部分のカドミウムは得られています。
 最も重要なカドミウムを利用物はニカド電池です。ニカド電池(ニッケル-カドミウムアルカリ電池)は、プラス極にニッケル酸化物、マイナス極にカドミウムを用い、それらを水酸化カリウムと少量の水酸化リチウムを溶かした水溶液に浸した電池です。繰り返し充電することができ、鉛蓄電池よりも、長寿命で、軽量なため、コードレスフォンやラジコンなどによく使われています。また、カドミウムの融点(溶ける温度)は約321℃と低いので、ハンダの材料への使用されています。硫化カドミウム(CdS)はカドミウムイエローという黄色の顔料です。亜鉛よりもサビ止め効果が大きいので、メッキにも用いられています。

ZnCO3 CdS
菱亜鉛鉱 硫カドミウム鉱
菱亜鉛鉱 硫カドミウム鉱(黄色部分)
San Antonio mine,
Santa Eulalia District,
Chihuahua, Mexico
岐阜県 恵那市 河合鉱山

コラム「人体に有害なカドミウム」
 カドミウムは人体に有害な金属です。体内に取り込まれると中毒を起こし、嘔吐、呼吸困難、肝機能障害などの症状が出ます。また、カドミウムには動植物内に蓄積される性質があり、食物から汚染されることがあります。富山県の神通川流域で発生した公害病「イタイイタイ病」は、カドミウムが原因でした。
 イタイイタイ病は、慢性カドミウム中毒による骨軟化症、骨多孔症、腎臓障害です。体内に入ったカドミウムは肝臓と腎臓へ集まります。腎臓に蓄積されたカドミウムは腎臓の機能を狂わせ、血液中のリンとカルシウムを、尿と共に体外へ排出させてしまいます。すると、血液中に不足したリンとカルシウムを補うために、骨(リン灰石が主成分)が分解されます。そして、骨軟化症と骨多孔症が発症し、骨が変形し、折れたりして、患者は激痛に苦しめられます。病名は患者さんの悲痛な叫び声に因むそうです。

隣接元素
亜鉛
カドミウム インジウム
水銀

  

Copyright (C) 1996-2007 iElement. All Rights Reserved.