モリブデンはギリシャ語の鉛(molybdos)に由来し、モリブデナは方鉛鉱(PbS)の呼び名でした。その後、石墨や輝水鉛鉱もモリブデナと呼ばれるようになり、灰色の鉱石の総称として、モリブデナは使われるようになりました。更にその後、モリブデナのひとつ輝水鉛鉱から新元素が発見され、モリブデンと名付けられました。つまり、鉛を意味していた言葉が、別の元素であるモリブデンの名前に変わったわけです。
鉛とモリブデンの名前の関係を示す別の話を紹介しましょう。以前、日本ではモリブデンのことを水鉛と呼んでいました。この呼び名はドイツ語Wasserblei(水の鉛)に由来します。亜鉛という元素名は使用されていますが、水鉛という元素名はほとんど使われなくなりました。輝水鉛鉱という鉱物名は数少ない使用例です。 |