人類はナトリウムの化合物を古くから利用している。食塩(NaCl)は調味料としての他に、食料の保存に使用している。旧約聖書にも、清浄剤として炭酸ナトリウム(NaCO3)を用いていたと記されている。
ナトリウムは柔らかい銀白色の金属元素で、反応性に極めて富んでいる。大気中に放置すると、酸素や水蒸気と激しく反応する。ナトリウムの取り扱いには注意が要る。そのため、化合物からナトリウムを分離するのに成功したのは19世紀になってからである。
ナトリウムはドイツ語とラテン語でもNariumというが、ラテン語のnatron(天然ソーダ、つまり炭酸ナトリウム)にちなんでいる。ところが、英語ではSodiumと呼ばれている。ラテン語のsodanum(頭痛を癒すもの)が語源であるが、薬として利用されている硫酸ナトリウム(Na2SO4)の効能によるのであろう。
ナトリウムは地殻中で6番目に多い元素である。岩塩(NaCl)は海水が蒸発して形成した。 |