酸素の分離が成功したのは18世紀後半である。当時は、可燃物には燃える素(フロギストンと呼ばれていた)が含まれているので、燃えるのだと考えられていた。そのため、酸素の分離に成功した化学者は、新元素を発見したことに気づくことができなかった。それから7年後、酸素の分離法を教えてもらったフランスの化学者ラボアジェが、酸素の存在を確認し、フロギストン説を覆した。そして、ギリシャ語のoxys(酸味のある)+gennao(生ずる)から、酸素と名付けた。
酸素は宇宙では水素、ヘリウムに次いで3番目に多い元素である。地殻を構成する元素では最も多い元素で、地殻の約47%が酸素原子で構成されている。そのため、酸素を含んでいる鉱物は非常に多く、典型的な鉱物を挙げることは難しい。コラムでは、有孔虫の化石の酸素の分析から、過去の気候を復元する研究を紹介しよう。 |