以前、リンは漢字で燐(ひとだまの意)と書いていた。ひとだまはリンが燃えているものだと考えられていたためであろう。確かに、リンの最も普通の形である白リンは、空気中で自然発火しやすい。この性質にちなんで、英語ではリンのことをphosphorusという。ギリシャ語のphos(光)+phoros(運び屋)が語源である。
リンの分離に成功したのは1669年である。尿を乾燥させて得た固形物を加熱処理して、リンを抽出した。生物の排泄物にはリンが含まれている。リン肥料の原料として有名なグアノは、鳥の排泄物が石灰と反応したものである。
リンを主成分とする鉱物として、まず、歯や骨の主成分であるアパタイトが思いつく。ただし、歯や骨に含まれるアパタイトは下に紹介したものではなく、FをOHで置き換えたハイドロキシ・アパタイトである。また、トルコ石もリンを主成分のひとつとする鉱物である。 |