最近では、ケイ素の英語名であるシリコン(Silicon)と言った方が親しみを持ってもらえるかもしれない。半導体製造に欠かせないシリコンとはケイ素のことである。人類がケイ素を利用し始めたのは最近のように思えるが、実際は紀元前1500年以前に始まったとされている。二酸化ケイ素を天然ソーダ(Na2CO3)と加熱してガラスの装飾品を造ったのが最初と考えられている。しかし、19世紀になるまで、ケイ素という元素が存在するという認識はなかった。ケイ素の分離に初めて成功したのは1824年である。元素名はケイ石を意味するラテン語(silicis)にちなんでいる。ケイ石とは、石英や水晶などのように二酸化ケイ素で構成された岩石の総称である。ケイ素を漢字で書くと珪素となるが、「珪」は硬い宝石を意味する字である。
ケイ素は宇宙では7番目に多い元素である。地殻の約28%はケイ素であり、酸素に次いで2番目に多い元素である。マントルの約20%はケイ素である。 |