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セレン

元素記号:Se 英語名:Selenium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

34

78.96

217

684.9

62.1

 セレンは柔らかい半金属元素で、地殻には0.05ppm(=0.000005%)程度しか存在しません。1817年、スウェーデンのベルセーリウスとガーンは、イオウを燃やして硫酸の製造する際に生じる沈殿物から、テルル(Te)に似た未知の元素を発見しました。テルルはラテン語のtellus(地球)に因んでいたので、新元素にはギリシャ語のselene(月)に因んでセレンと名付けました。
 セレンを主成分とする鉱物として、セレン銅銀鉱(CuAgSe)やセレン銀鉱(Ag2Se)が知られていますが、希な鉱物であり、鉱石にはなりません。工業的には、銅の精錬時の副産物として、あるいはイオウを燃やして硫酸の製造する際に生じる沈殿物から、セレンは得られています。セレンには、光を当てると電気の伝導性が著しく上がるという、特異な性質があり、複写機に利用されています。セレン化カドミウム(CdSe)は赤色の顔料として、ペンキやプラスチックのほか、信号機の赤いランプにも利用されています。二硫化セレン(SeS2)には殺菌力があり、頭皮からほとんど吸収されないという特長があり、シャンプーに使用されています。

コラム「星に因む元素名」
 星の名前に由来する元素名は8つ存在します。下の表に掲載しました。生活に密接に関係している地球、太陽、そして、月の名が使用されています。天文学の発達によって発見された天王星、海王星、冥王星、そして、小惑星の名前も用いられています。
 ヘリウムは太陽で発見された元素なので命名に納得できますが、その他は科学的な意味のないものです。まず、、1789年、ドイツのクラップロートが天王星(1781年に発見)に因んで、ウランと名付けました。クラップロートは、1798年にも新元素を発見し、人類にとって最も重要な惑星である地球に因んで、テルルと命名しました。元素名セレンはテルルに科学的な性質が似ていたことに由来します。
 19世紀の初頭、多数の小惑星の発見はセンセーショナルでした。セリウムの元素名は1801年に初めて発見された小惑星の名前に由来します。パラジウムも1802年に発見された小惑星パラスに因んだ命名です。
 ネプツニウムとプルトニウムの命名には科学的な意味が少しあります。周期表をみると、この2つの元素はウランの右隣に並んでいます。この並び方は、惑星(天王星、海王星、冥王星)の並び方に対応しています。
 ところで、惑星と同じ名前を持つ元素が1つ存在します。それはHg(水銀)です。水銀の英語名Mercuryは水星(Mercury)と同じです。双方の名称はギリシャ神話の神mercurius(商売の神で、羽根を持っており、天地を駆けめぐっていた)に因んでいます。液体の元素であり水銀の英語名は生命のように動くことに由来し、太陽に一番近い水星の英語名は太陽の側をすばやく運行する惑星であることに由来します。つまり、どちらも、独立した命名です。

元素記号 元素名 星の名前 命名年
Te テルル 地球(ラテン語tellus) 1798
Se セレン 月(ラテン語selene) 1817
He ヘリウム 太陽(helios) 1868
Ce セリウム 小惑星セレス(ceres) 1803
Pd パラジウム 小惑星パラス(pallas) 1803
U ウラン 天王星(uranus) 1789
Np ネプツニウム 海王星(neptune) 1940
Pu プルトニウム 冥王星(pluto) 1940

隣接元素
硫黄
ヒ素 セレン 臭素
テルル

  

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