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ホルミウム

元素記号:Ho 英語名:Holmium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

67

164.9304

1474

2395

0.0889

 ホルミウムは柔らかい銀白色の金属です。地殻には1.4ppm(0.00014%)ほど存在しています。スウェーデンのクレーペは、1879年に、純粋なエルビウムと考えられていた物質から2つの新元素を発見しました。その1つがホルミウムです。元素名は、スウェーデンの首都ストックホルムの古い呼び名 Holmia に因んでいます。もう1つの新元素はツリウムと名付けられました。
 ホルミウムはゼノタイムから得られています。ホルミウムの身近な利用例は着色ガラスです。ガラスへ酸化ホルミウム(Ho2O3)を混ぜると、淡黄色になります。

YPO4

ゼノタイム

ゼノタイム

Ibitiara, Bahia, Brazil

コラム「希土類元素とガラス」
 着色ガラスの他に、レンズ用の光学ガラスなどでも、希土類元素は欠かせない元素です。着色ガラスではホルミウムの他に、プラセオジム、ネオジム、エルビウムが使用されています。ランタンやセリウムは光学ガラスに添加されています。このコラムでは、ガラスにおける希土類元素の活用例を紹介しましょう。
 プラセオジムの酸化物をガラスへ混ぜると、主に青い色の光がガラスに吸収されるようになり、ガラス自体の色彩は淡緑色になります。
 ネオジムの酸化物を混ぜると、ガラスはうすいラベンダー色を呈します。ネオジムの酸化物は、板ガラス(酸化鉄で青みを帯びている)から青色を消すために添加されることもあります。着色以外にも、ネオジムはガラスに利用されています。テレビのブラウン管のガラスには、映像のコントラストを上げるために、商品の展示用に使用される白熱電球のガラスには、商品の色彩を鮮やかに見えるようにするために、ネオジムが混ぜられています。
 ホルミウムの酸化物をガラスへ加えると、緑色の光が吸収されるようになり、ガラスの色は淡い黄色になります。ホルミウムを混ぜたガラスへ吸収される光の色彩(波長)は、非常に限られています。少しでも、色彩(波長)がずれると、吸収されなくなります。光の波長を分析する装置を調節する基準物質として、ホルミウム酸化物を混ぜた着色ガラスが利用されています。
 エルビウムの酸化物を添加すると、ガラスはピンク色になります。従来、ピンク色のガラスの製造にはセレンが利用されていましたが、色合いを一定に保つことが困難でした。エルビウムを使うことにより、色の調整は容易になりました。しかし、エルビウムは高価であることと、濃いピンク色が出せないのが欠点です。
 ランタンの酸化物を混ぜたガラスは紫外線を吸収するため、色彩に変化はなく、無色です。屈折率が通常のガラスよりも大きく、レンズを作製する際、厚みを薄くしても、高倍率が得られます。よって、レンズ用の光学ガラスに、広く利用されています。目に見えない紫外線は写真に写る必要な無いので、紫外線を吸収する性質も、カメラにとって好都合です。
 酸化セリウムも、ランタンと同様に、光学レンズに混ぜられています。酸化セリウムは、レンズを磨く際に使用する研磨剤としても、活用されています。淡い黄色(カナリア色)のガラスに、酸化セリウムを使用したものがありますが、この黄色は、同時に混ざっている酸化チタンによるものです。

混ぜる希土類元素 ガラスの色彩 吸収される主な光の色
プラセオジム 淡緑色 緑に近い青色
ネオジム うすいラベンダー色 黄色
ホルミウム 淡黄色 緑色(少し黄色より)
エルビウム うすいピンク色 緑色(少し青より)
ランタンセリウム 無色 紫外線

隣接元素
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ジスプロシウム ホルミウム エルビウム
アインスタイニウム

  

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