ジスプロシウムという名前が示すように、希土類元素の探求は近づき難いものでした。1794年に、ガドリン石からイットリウムの酸化物が発見されたのが、希土類元素の研究の始まりです。このイットリウム酸化物には、別の希土類元素が多数混ざっており、最終的には9種類の希土類元素がイットリウム酸化物から発見されました。その経緯を下表にまとめています。
まず、イットリウムの酸化物からイットリウム以外に2種類の希土類元素が、1843年にモサンダーによって発見され、テルビウムおよびエルビウムと命名されました。エルビウムと考えられていた物質から、1878年にマリニャックによってイッテルビウムが、その翌年にニルソンによってスカンジウムが発見されました。さらに、エルビウムと考えられていた物質から、1879年にクレーベによって、ホルミウムとツリウムが同時に発見されています。ホルミウムからは、ボアボードランによってジスプロシウムが、1886年に分離されました。最後に見つかったのはルテチウムです。イッテルビウムと考えられていた物質から、1907年に、ユルバンによって発見されました。
イットリウム酸化物から希土類元素を見つけ出す研究が完了するのに、100年以上の歳月を要しました。複雑な研究の経過から化学者達の苦悩を知ることが出来ます。 |